イタリア南部カンパニア州は栗の生産地として有名の同社は、南イタリアのナポリから、車で1時間ほど内陸に入った、緑豊かなアヴェッリーノ県セリーノに所在し、「セリーノの栗 PGI」*で良く知られています。
*PGIとは?: Protected Geographical Indication 地理的表示保護(定められた地域原産品を定められた製法で生産または加工、または調整されているもの)の認証制度を公的機関が構築中(フランス語ではIndication géographique protégée, IGP)
また、ヘーゼルナッツの産地でもあります。
(ヘーゼルナッツのスプレッドであり、著名ブランドのヌテラにも供給)
この地域の栗の歴史は、11~12世紀にさかのぼり、僧侶によってもたらされ、良質な栄養源として、保存食として、又、粉に挽いてパンやパスタにと、地域伝統農作物の一つとなり、気候風土に合ったことで、緑の国と呼ばれるこの地域の山々の広域にわたって生産されています。マロングラッセなど栗が著名で消費量の多いフランスにも出荷しているとのこと。
3代受け継がれている同社の栗林は、カンパニア州立公園のある山の中腹にあり、27ヘクタールの広大な敷地には、樹齢100年を超える木々もたくさん植わっています。その足元にはシダやレンゲが自然なままに育ち、それらを8月に刈り取り、9~10月の収穫に備えます。樹上で熟し、地面に落下した毬栗から、栗を拾い集めます。
品種は、この地域の方言でヴェルドーレとサンティマンゴと呼ばれ、どちらも「セリーノの栗」に分類され、世界中で最も優れた栗の一つとされています。貴重な特性としては、高温加工による変質が少なく、薄皮が剥がれ易い、中粒の程よい大きさで、色・甘み・風味共に豊かなことがあげられます。
(マロングラッセは加糖するため、甘味・風味よりも大きくて見栄えの良いもので良い)
栗の種類の特長と収穫後直ぐに加工することで、薄皮まで容易に除去できます。
皮むきには、この地域で伝統的に行われてきた、“オーブンで焼いて皮を弾けさせ剥く”ことを機械化したメソードが25年前から続いています。
強火力の炎で一瞬にして鬼皮を弾けさせます。こうすることで、中まで火を通さずに仕上げることが出来ます。 ある意味原始的なメソードですが、薬品を一切使わずに、新鮮な栗の良さをキープしたまま、急速冷凍まで約45分で仕上げます。
同工程のメインは皮剥きですが、同時にサイズ、見栄えなど、自動選別及びオペレーターにて再三に渡る選別。また複数回の水洗浄およびブラシによる洗浄も行い、綺麗な剥き栗に仕上げます。
栗の加工・調理には、焼く(ローストフレーバー+固めの仕上がり)、茹でる(フレーバーや栄養分が水に溶けだす)、蒸す(レトルトに近い)、レトルトとありますが、密封したレトルトパック内で調理するレトルトは、素材のみを使用し、素材そのものの味を引き出し且つ常温での長期保存が可能と、最高の調理方法と考えている。
EUでも最も著名な栗産地であるイタリアでは、栗=フレッシュというイメージもあり、スタート時にレトルトは中々受け入れられず、近隣国への販売からスタートしたためオーストリアへの出荷が最大。現在ではイタリアでも認知され販売が伸長している。
同社でも価格競争力の高い中国産の栗を調達し製品化を試みた事があるが、栗の種類が異なることもあり、ゴムのような食感で、味も淡白で不採用とした経緯あり。
それによりイタリア産・自社の栗の豊かな栗の風味、甘味などを再認識する事が出来たため、その点をアピールして行く方針としている。
Information:
PDO: Protected designation of origin 原産地名称保護
定められた地域原産品を定められた製法で生産・加工・調整されたものでなければならない。制度中最も厳しい基準(フランス語ではAppellation d’origine protégée, AOP。フランス独自のAOCに相当する)
PGI: Protected Geographical Indication 地理的表示保護
定められた地域原産品を定められた製法で生産または加工、または調整されているものでなければならない(フランス語ではIndication géographique protégée, IGP)